2018年
6月
26日
火
廃棄物にならなくてもエネルギーがムダに使われる場合があります。ある設備にエネルギーが投入されて稼働することを考えます。入力したエネルギーがすべて有効に使用されるのが最適ですが、入力したエネルギーの一部が効力を発揮しないということがあります。本来の商品・サービスに使われないエネルギーは無効エネルギーとなります。エネルギーの最適化とは、無効エネルギーを極力少なくすることです。
そのためには、機械効率を高めることと、機械の運転率を高めることが必要です。機械効率を高めるためには、高効率設備への更新が浮かびますが、設備全体を更新することだけが解決策とは限りません。たとえば、ポンプの必要流量の変動に合わせてモーターの回転数を変動させるために、ポンプにインバータを追加するというのもその一つです。
設備が効力を発揮するのに一定時間慣らし運転が必要だとか、機能を維持するために待機電力が必要ということがあります。こうしたロスを減らすためには、一度設備を稼働したら、長時間連続して稼働することが重要ですが、生産するものがないのに稼働し続けることはできません。需要への対応や納期を優先しながらも、その中で極力設備を止めなくても良いような生産計画を立て、それに合わせて設備を稼働することが求められます。つまり、ムダのない効率的な生産計画とそれに連動した設備稼働です。
あるプラスチック製品の射出成形を行っている工場で、次に成形するものがない時、射出成型機自身は非稼働ですが、樹脂を溶融するためのヒーターは点けたままにしているという事例がありました。熱エネルギーがムダに放出され、空調のためのエネルギーも浪費していました。再稼働するためには2時間程度の立ち上げ時間が必要なために、ヒーターだけは点けているということでしたが、2時間以上生産予定がなければヒーターも止めるべきでしょう。できれば、射出成型機が長時間連続運転できるように生産計画を組むことが重要です。もちろん売れる見込みがないのに生産しては却ってムダになりますので、生産管理担当者は総合的に判断して最適な生産計画を組む必要があります。
2018年
6月
11日
月
何か事業を行う場合、仕入れたものをそのままお客様に提供する小売業、加工して付加価値を付けでお客様に提供する製造業、飲食業、建設業、サービス業、いずれも投入したエネルギーの全てが商品・サービスに形を変えてお客様に価値提供されるとは限りません。商品・サービスにならなかったものは廃棄物として捨てられます。これらの廃棄物を作るためにもエネルギーが使用されていますので、廃棄物があるということはエネルギーがムダに使われたということになります。
次に一つの施設の中で、熱の流れからエネルギー構造を考えてみます。たとえば飲食業の店舗を想定してみると分かりやすいです。エネルギーが設備に入力されて仕事をしますが、その過程で放熱されてエネルギーの一部が室外へ捨てられます。そして残りの熱は室内に蓄積されます。給排気によって室外との間で熱の出入りがあります。さらに空調設備によって吸熱・放熱が行われ、ここでも室外との間で熱の出入りが発生します。熱というエネルギーを店舗から出したり入れたりすることは、ムダにエネルギーを消費することになります。排熱を有効活用することができないかを考えることで、エネルギーの最適化を図ることができます。施設全体のエネルギーフローを調べ、どこに省エネポイントがあるのか、どこを優先的に改善すべきかを考えることが重要です。たとえば、CO2濃度は1000ppm以下であればいいのですが、500ppmとかかなり低い場合があります。つまり換気のし過ぎということですね。冬場暖かい空気が外部に放出され冷たい空気が入ってくるということで暖房のエネルギーを余分に使っているということが起こってはいないか、CO2濃度を900ppmくらいまで上げるよう換気の調整をするということもひとつのポイントになります。
省エネはエネルギーを削減するというよりも、入力されたエネルギーをムダなく如何に有効に活用するかという視点が重要です。
2013年
4月
19日
金
工場の省エネを進める際には、生産量とエネルギー消費量との関係を分析するのが重要です。生産量の増加に伴ってエネルギー消費量が比例して増加するのは仕方のないことです。しかし、生産量に関わらず消費されているエネルギーがあるとすれば、そればムダと考えられます。それを見つけるために、エネルギー消費量を縦軸に、生産量を横軸にして散布図を描いてみます。相関がみられる場合は回帰直線を描いてみます。EXCELで回帰分析を実施すれば簡単に求められます。こうしてエネルギー使用量を比例分と固定分に分けます。回帰直線を大きく上に離れる点には問題があると考えられます。そして固定分が多いということは生産量に関係なく消費されているエネルギーが多いということですから、固定分を削減することが求められます。そのために実施することは、以下の3つです。
①固定分を比例分に転換 (できるだけ多くの設備を生産量に連動させて稼働する)
②固定分消費設備の高効率化と運転の合理化
③生産能力を高める(生産時間の短縮)
この3つの視点で生産改善に取り組むことが省エネにつながるのです。
2013年
1月
14日
月
省エネ対策は、企業にとって3つの意味があります。第一はリスク回避のための省エネです。原発再稼働に対する厳しい世論が続く中、夏のピーク時などには計画停電が発生するリスクがあります。また、電気料金の値上げも予定されています。これは大きな経営リスクです。それを回避するためには省エネが重要です。第二は利益創出のための省エネです。省エネでエネルギーコストを削減できれば、それはそのまま利益になります。同等の利益を売上アップで創出するためには、原価や経費を考えると利益の何倍もの売上が必要になります。人件費カットによるコスト削減は企業の体力を弱めます。それに反して省エネは生産性を高め、経営体質を強化することにもつながります。第三はブランド価値を高める省エネです。省エネはCO2削減により地球温暖化対策になります。これをうまく訴求できればブランド価値の向上につなげることができます。商品のライフサイクルにおけるCO2排出量が削減できるので、環境にやさしい商品としてお客様にアピールすることもできます。