納期管理の要はリソース管理

 製造業にとって納期を守ることは極めて重要です。納期遅延を起すと客先の信頼を損ない、以降、その客先からは注文がもらえなくなります。納期を守るためには予め納期に間に合うような生産計画を立て、それを死守しなければなりません。では納期に間に合う生産計画の生産着手日はどのようにして決めればいいのでしょうか。納期から品種ごとに作業標準時間を積み上げた標準リードタイムを遡って生産着手日を決めればいいのでしょうか。工場の設備や人員などのリソースが無制限にあればそれでいいのですが、実際は限られたリソースの中で製造しなければなりません。ましてや複数の客先から多品種少量の注文を受ける場合は、リソースの取り合いが発生し、単純に標準リードタイムを遡って生産着手日を決めるわけにはいきません。
 プロジェクトの進捗管理の手段として使われているガントチャートという視覚化ツールがあります。横軸を連続した時間軸とし、作業の開始日時と終了日時を横棒(バー)で表現した図表です。リソースを考慮した生産計画を立案する際に、このガントチャートを使うことができます。縦軸を受注番号や品種ではなく設備や人などのリソースとし、受注品種をバーで配置していきます。バーの長さは受注品種の各リソースでの標準作業時間とします。受注品種の手順計画を予め作成しておき、使用するリソースの順序に従ってバーを配置していき、最終のリソースでの作業完了日時が納期前になるようにします。これにより、有限能力ならではのロット同士の排他的な関係(山積みされない状態)が表現できます。
 こうしたリソースガントチャートを使うと生産余力が見える化されるので、たとえば緊急注文などが入ってきた時に対応できるかどうかの判断もしやすくなります。
 限られたリソースの中で、できるだけ無駄なくリソースが使われるような計画を組むことが計画担当者の腕の見せどころとなりますが、要求量に対して生産能力が少ないボトルネック工程があると、生産着手日がより前倒しになり製造リードタイムが長くなります。製造リードタイムを短縮するにはボトルネック工程をフル活用することと、ボトルネック工程の能力アップが重要となります。

ご質問はこちらへどうぞ

e&i経営研究所

■メールアドレス

  takano_k@m3.kcn.ne.jp 
■代表者    

  高野 淨(たかの きよし)
■事業内容 

  経営相談    

  コンサルティング
  セミナー・研修・教育
  調査・研究

お気軽にご相談ください