2013年

11月

24日

商品企画アイデア発想法

 今年の9月から11月にかけて「なにわ友あれ環境塾」のファシリテータをさせていただきました。身近なごみやエコについて考えようという市民向けの連続講座(全5回)です。毎回グループ学習の時間があり、ごみやエコについて各グループでテーマを決めて議論し、最終回に発表します。私が受け持ったグループでは、「家庭ごみの分別をどのようにして徹底するか」というテーマで話し合いました。結論として新商品アイデアが2つ出てきました。

 一つは冷蔵庫に在庫管理の機能を持たせようというものです。冷蔵庫に何があったかを忘れてしまい、既にあるものを買ってしまったという経験から出てきたアイデアです。商品にはバーコードが付いていますので、冷蔵庫にバーコードリーダーを付けておけば入出庫管理ができるではないかということです。それをスーパー等で買い物する時にスマホでチェックできれば、同じものをまた買ってしまうということは防げます。

 もう一つはスマホでごみを撮影すれば自分の市町村の分別ルールに従って分別方法を教えてくれるスマホアプリを開発いてもらおうというアイデアです。市町村によって分別ルールが異なるし、商品によっては分解して分別しなければならないので大変ですよね。それを簡単に実行できるようにしようというのです。自分の住んでいる市町村の分別ルールを教えてくれるアプリは金沢のソフト会社が最近開発したのですが、写真を撮ると自動判別してくれるというのはまだないと思います。いずれも実際に商品化しようと思うと多くの課題がありますが、おもしろいアイデアだと思います。一般の市民の方からこんなアイデアが出てくるんです。すばらしいですね。

 さて、新商品を開発しようと考えた時、アイデアを出す方法は3つあります。一つは「シーズ発想」、「自分が作りたいものを作る」ということです。もう一つは「ニーズ発想」、「お客様が欲しいものを作る」ということです。ではシーズ発想とニーズ発想ではどちらがいいのでしょう。「ニーズ発想」は顧客が欲しいものだから成功する確率は高いといえます。しかし、お客様の要求水準を超える商品の発想がなかなか出にくいでしょうね。一方「シーズ発想」は経営者や技術者の独創的なアイデアで、顧客の要求水準を超えたものが生まれる可能性があります。新しいニーズを創造することになり、成功した時の成果は大きいといえます。さらにもう一つ発想法があります。それは「他業界発想」。他の業界ではやっているが、自分の業界では誰もやっていないものです。競合に笑われるような突飛なものが出てくれば理想です。業界内のものを真似するとパクリといわれますが、他業界の成功事例を参考にすれば革新的といわれます。

 前半で紹介したごみ削減につながる商品アイデアの事例は「ニーズ発想」ですが、「ニーズ発想」で大事なのは、お客様が自分でも気づいていない「潜在ニーズ」に売り手が気づくことです。つまり、顧客の行動や言葉から気づきを得る。そこから仮説を立て、その仮説を検証するために調査をするのです。「技術」は後から開発すればいいということです。スマホで食品在庫がわかる冷蔵庫もどこかの家電メーカーで真剣に商品化を考えてほしいものです。

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2013年

9月

08日

ターゲット顧客はこうして決める

 売上アップのために企業の経営戦略を考える時は、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3Cを考えることが基本です。それを6つの視点に分けて整理します。
 ①顧客価値:お客様に提供する価値
 ②ターゲット顧客:狙いを定める顧客
 ③戦場:勝てる戦場
 ④競合:同じ戦場にいる同じターゲット顧客を狙う

     競合他社
 ⑤強み:お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由
 ⑥独自資源:強みを支え、競合が真似できない自社の経営資源
上記の6つを連動させて一貫性が取れるようにそれぞれの視点を考えていくことが重要です。中でもターゲット顧客を定めるのが結構難しいと思われます。「御社のターゲット顧客は誰ですか?」と聞かれて明確に答えられない社長さんも多いのではないでしょうか。
 新たにどんなお客様を狙ってどんな商品・サービスを出していこうかと考える際に、以下のような手順でターゲット顧客を決めていくのが効果的です。それはターゲットユーザーのプロファイルを詳細に想定する分析法であるペルソナ分析の考え方を応用した方法です。
 ①顧客像の具体化
 ②ニーズの普遍化
 ③ニーズで人を括る
まず、おぼろげにこんな顧客層をターゲットにこんな商品・サービスを出してはどうだろうかというアイデアが浮かんだら、それを使うと思われるお客様を複数人想定して具体化していきます。年齢、性別、職業、年収、住んでいる場所、服装、趣味、ライフスタイル、価値観などです。そして次にその人がどんな場面(TPO)でその商品・サービスを使うのかを想像します。利用場面を考えることで、お客様のニーズがおぼろげに見えてきます。そして何に困っているから、あるいはどうしたいからこの商品・サービスを使うのかを突き詰めて考えることでニーズが具体化します。そのニーズって結局こういうことなんだと少しニーズ抽象度を上げていくことでニーズを普遍化します。あまり抽象度を上げ過ぎるとニーズがぼやけてしまいますので、抽象度のツマミを上げ下げしてこれがニーズだというのを見つけるのです。複数人について顧客像の具体化とニーズの普遍化をやったら、今度はその具体化したニーズを付き合わせて、ニーズが共通している人を括っていきます。その括られた顧客をまとめてターゲット顧客にするのです。この時、他にも共通のニーズを持っている人はいないかとさらに広げていき、ターゲット顧客を再定義するといいです。広げすぎるとニーズがぼやけてしまいますので、②と③は行ったり来たりしながらターゲット顧客の範囲を慎重に設定するのです。うまく括れていればこんな商品・サービスを出せばいいんだという打ち手が見えてきます。

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2012年

8月

13日

「お客様」の「お客様」のことを考える

 企業相手のB to B の事業を行っている企業の中には、お客様企業の求める仕様に応じて製品を作っている、いわゆる下請企業が多いです。では、下請企業はどうやって環境に配慮した製品で商売をすればいいのでしょう。顧客企業の注文を待っているだけでは実現できません。自らお客様企業に提案していかなければなりません。その時に考えるのが、「お客様」の「お客様」、さらに言えば、「最終消費者」の求める顧客価値に思いを馳せることです。「お客様」の「お客様」が喜んでくれれば、「お客様」が「儲かる」につながります。顧客価値は最終消費者からサプライチェーンを遡って伝播するのです。したがって、最終消費者の求めるニーズを探り、それを叶えるために、自社はどうすればいいのかを考えます。そして、「ウチを使えば御社のお客様が喜んで、御社が儲かる」ことを提案すればいいのです。たとえば、自社が自動車のフレームを作っているとしますと、最終消費者であるドライバーに燃費のいいクルマに乗りたいというニーズがあるのですから、直接のお客様である自動車メーカーに、「当社の軽量フレームを使えば、燃費のいいクルマが開発できて、お客様に喜んでいただけます。」と提案するのです。最終消費者の顧客価値向上のために自社に何ができるのか考え、提案営業にチャレンジしましょう。

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